美那川キャンプ村自然日記(今季最終回)  

                        野口 穂

 人生に忘れ物と落とし物はつきものである。
 美那川のキャンプ村の川原には自然からの落とし物として「鹿の角」がよく流れ着く、「これは鹿の角」といって子供にあげるが多くの子は興味を示さない、
しかし、親は子供に向かって「もって帰り」とすぐ飛びつき、「いいものをもらったね」と続く。

 この夏、3人の小学生が鮎を素手で捕まえた。冷水病という病気で弱った鮎は時折泳ぎながらゆらゆらと下ってくる。この鮎に気がつけば下流でまっていれば
小学生でも捕まえることはできる。病気のため生身での食用にはできないが、火をとおすと何ら問題ない。

 自然からの恵みとは反対に人の忘れ物で多いのが風呂場での着替えた残りの衣類、この中には子供の物が多く、「これを忘れていませんか?」と聞きますが、
聞けないのが乳児の「おむつ」と普通では考えられない「成人女性のそれぞれの下着」。これらはやむ得ず消却する。

 この世の物は、元をたどればすべて自然からの贈り物、限りある自然からの贈り物は限りなく使わなければならない。

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