中川公輝さんのスリランカ便り
JICAボランティアコーディネーターとしてスリランカ
に赴任中の中川ご夫妻。
首都コロンボで活躍中です。公輝さんは木頭和無田の
ご出身。この秋一時帰国されていました。そのときの
感想や、スリランカと木頭を結んでのスカイプ授業の
ことなどの様子をレポートしていただきました。
現在、スリランカに住んで早3年、コロンボ市在住の中川公輝で
す。今年の10月半ばから1ヶ月ほど日本に一時帰国しましたが、や
はり木頭の変わらない風景はとてもいいものです。しかし高校卒業
以来28年ぶりに会う同級生と顔を会わせた時には、互いに髪の薄く
なった頭を見ながら時の経過を感じずには居られませんでした。再
会は神社秋祭りの場でしたが、重量のある山車を引く若者が減り、
中学生も手伝ってほんの数十メートル引き回しただけで終わってし
まったのはちょっと寂しく時代の流れで仕方ないのかも知れません
が、なんとか他の地域から助っ人を呼んででも続けて欲しい行事で
す。
今回の帰国中には、玄番さんからの誘いで、徳島ICTフェスタ(情
報技術祭り)のスカイプ授業イベントのお手伝いをさせていただく
機会がありました。以前に修士論文のため木頭で研究生活をしてい
た田中真澄美さんがフィンランドへまた研究生として渡航されてい
るということで、那賀町相生のICT会場とフィンランドをテレビ電
話で接続し、また木頭北川の炭焼き小屋とも接続して環境授業を行
うという試みでした。私が相生会場で授業の進行役を担当し、初め
ての経験なのでどうなるかと不安な中、炭焼き小屋との接続はちょ
っと不安定で時間が短くなってしまいましたがフィンランドとの接
続は映像も音声もクリアーで、徳島県知事にも飛び入り参加いただ
いて盛り上げてもらうなど、なんとか形にすることができました。
また、スリランカに戻った後、11月26日にはスリランカ、フィン
ランド、炭小屋から北川小学校の4箇所をつないで生徒に授業を行
うという試みにも参加しました。今度は海外からスリランカ人 の
日本語教師の女性(イローミさん)と一緒に参加した訳ですが、海
外の自宅から木頭北川小学校の生徒達と対面しながら会話するとい
うのも不思議な体験でした。イローミさんも民族衣装のサリーを着
て出てくださり、異国情緒満点の雰囲気をお届けできました。彼女
も楽しんだ様子で小学校生徒の元気な様子に驚きながらも次回があ
ればもっとうまくやってみたいですと流暢な日本語で話してくれま
した。他の学校とも接 続して楽しい授業を協力できたらと思って
います。
では、スリランカについて少掘岱ぢスリランカといえば民族紛争
が有名ですが、政府対反政府の軍隊同士の戦闘に加えて、反政府勢
力による爆弾テロ事件が相変わらず20年以上も散発的に続いていま
す。しかし、人々は毎日を生活しなければならず、不安を感じなが
らもその状況を受け入れざるを得ないというのが本音のようです。
ただ、普段の生活で気を付けていることは、もし爆弾が近くで爆発
した時に被害が少なくなるようにレストランなどでは出来るだけ道
路側の窓際は避ける(ガラスの破片で怪我をしやすい)とか、人が
集まる場所にはできるだけ行かない、よく爆弾を仕掛けられる普通
バスはなるだけ使わない、不審な荷物を見つけたらすぐ離れるなど
の防衛策を取っているようです。先日はインドでも大規模なテロが
あり多くの人が亡くなりましたが、日本も含めて憎しみによるテロ
というものはいつまでたってもなかなか世界から無くならないよう
です。
次にあまり知られていないスリランカと日本との歴史、関係をご
紹介します。
身近な関係では、現在皆さんがよく台所でつかっている亀の子タ
ワシは、現在ほとんどがスリランカ製のものとなっています。ス
リランカの椰子の木の繊維から作られています。
以上スリランカについて少し紹介させていただきました。
治安は少々不安定ですが、世界遺産が7つもあり、観光資源、自
然にも恵まれた国です。早く平和になって訪れる人がもっと多く
なることを願っています。
日本からスリランカへのODA(政府開発援助)額は他の先進各
国のそれと比較して1番多くなっています。これは、次のようなエ
ピソードが過去にあるためと言われています。
第2次世界大戦中は、日本軍が英国軍とスリランカを舞台に戦
闘を繰り広げ、イギリス艦隊や基地をゼロ戦で爆撃した時にコロ
ンボなどでスリランカ人にも被害を与えたことがあります。(東部
州の海岸には撃ち落されたゼロ戦が沈んでいるらしい。)戦後、
被害を受けた国々が 賠償を日本に請求する中、1951年のサン
フランシスコ講和会議で、当時のスリランカ大蔵大臣〔後の初代
大統領〕J・R・ジャヤワルダナ氏は仏陀の言葉「憎しみは憎しみ
をもって止まず、愛をもってのみ止む」 という言葉を引用し、 同
じ仏教国である日本からの対日賠償請求権を放棄、さらに日本
分割統治案にも反対しました。
このスリランカが第2次世界大戦後の戦後補償問題で、いち早く
日本からの補償を辞退した事により、日本の戦後補償の負担が
減り、戦後の復興が早まったともいわれています。鎌倉の大仏
様の裏には、このときの財務大臣でのちに大統領となるJ.R.ジャ
ヤワルダナ氏の言葉がシンハラ語で記されている碑があるそう
です。
過疎の小さな小学校から世界をみてみよう!
木頭・北川小学校にて環境スカイプ授業(主催 おららの炭
小屋(地球環境基金事業))をおこないました!
 その様子は炭小屋ブログでご覧下さい http://olala.sblo.jp/
  
  スカイプって何?
「スカイプ(Skype)」とは、世界中どこへかけても通話料が無料の
インターネット電話のことです。通話相手が1人ならビデオ映像
も利用でき、顔を見ながら通話(会話)ができます。音声だけな
ら複数の人と同時に会話ができます。
おららの炭小屋では、これを利用して「山に生きる知恵(生活技
術)」をいろんな学校の子どもたちに「伝授」しています。参加
申し込みは「おららの炭小屋」 office@olala.jp まで。
   
               おららの炭小屋事務局