言葉の大切さ

                 ひの ゆうさく

 この国の代表ともいえる総理大臣が、漢字の読み違えや失言
の連続。そんな人を選んだ覚えがないと言っても、この国の民
主主義制度にのっとって選ばれた人物だけに、はがゆいやら恥
ずかしいやら。漫画しか読まないという人物だけに、しかたな
いかと苦笑しますが、彼の言動が海外に翻訳されるとき、こと
は苦笑いでは済まされないと思います。「頻繁(ひんぱん)な
交流」を「煩雑(はんざつ)な交流」と訳されたら、相手国は
今後交流などしないと怒り出すのではないかとひやひやです。
そんなおばかな総理大臣の目玉政策が、国民全員に支給する
という「給付金」。しかし、そのお金も、もとは国民の税金で
す。なのに、あたかも自分のお金をばらまくと言わんばかりの
言い草に、腹がたちます。あえて言うなら「税金の還付金」で
しょう。言葉も間違いなら、その政策が何のためなのか、理解
に苦しみます。また、もらえるものはもらいたいという庶民の
気持ちもわかりますが、もとは自分たちが出した税金だという
認識が欠如していませんか。「首相はその国の民度を示す」と
いう定説がありますが、まさに日本国民全員が問われているの
だと思います。そんな人物を政治家としてのさばらせている自
分たちのレベルの低さに反省し、もっと怒るべきでしょう。
 国の代表が言葉の大切さを理解していないことも深刻ですが
若者のコミュニケーション障害も深刻です。あいさつができな
い、ありがとうが言えない、ごめんなさいが言えない・・・。
など、人としての基本である言葉の崩壊は、文化の崩壊であり
社会の崩壊につながります。でも、木頭では道で子どもたちと
出会うと必ず「おはようございます」「こんにちは」の言葉が
あり、心を和ませてくれます。そんな田舎ではあたりまえの光
景が、都会にはありません。その代わりに、ネットを中心とし
た孤独な独り言が氾濫しています。文明と引き換えに言葉を失
ってしまうことは、とても恐ろしいことです。
ハワイ原住民のヒーリング(癒し)に「ホ・オポノポノ(オポ
ノオポノ)」というものがあります。これは 「ありがとう」
「ごめんなさい」「愛しています」を繰り返し声にすることで
心が開かれ、さまざまな病気が改善に向かうというものです。
かの総理大臣にも、まず国民に「税金を納めてくれてありがと
う」、「失言をしてごめんなさい」と言ってほしいものです。