異常気象で今年の柚子はどうなる?

                 ひの ゆうさく

 暑いと思っていたら突然寒くなって、朝夕は暖房器具が欲し
いとさへ思う日が続いたり、雨が降らないかと思いきや突然集
中豪雨が来たりと、異常気象で農作物が心配です。柚子につい
ては、今年の春先に降り積もった雪で枝折れするという被害が
あった矢先の悪天候。苛酷な環境に耐えて実った柚子は、香り
が高く味も良くなるとはいえ、収量は激減します。収穫に表裏
があるといわれる柚子ですが、表作と呼べるような年はここ3
年間なく、今年も少ないとなると裏作が4年続くことになりま
す。
 こればかりはお天とう様のやることなので、しかたありませ
ん。北京オリンピックの開会式では人工的に雨を止めたという
話がありましたが、所詮、こてさきのトリックショー。地球規
模の異常気象はどうすることもできません。
そんな世界各地で起こる自然災害で、世界的に食糧生産率が低
下しています。自給率が40%以下の日本では、とても深刻な問
題ですが、街はそんな話どこ吹く風。相変わらず店には商品が
あふれ、食品の廃棄量も減ることなく、飽食の限りを尽くして
病気になるという悪循環。なんだか人間も異常気性になってい
るようです・・・。
 さて、話を柚子に戻しますと、悪いことばかりでもありませ
ん。一昨年よりフランスへ輸出している「木頭柚子しぼり」が
フランスのレストラン界で高い評価を受け、今年パリで開かれ
る世界食品展示会の高級食品部門に出品が決まりました。また
世界的にも著名なフランスのパティシエ(お菓子職人)のピエ
ール・エルメ氏が、木頭柚子しぼりを使った新作デザートを発
表し、注目を集めたそうです。このピエール・エルメ氏は、帝
国ホテルのデザートを手がけたり、彼の書籍が翻訳・出版され
ていたりと、日本でも知る人ぞ知るパティシエです。そんな方
が、世界一の柚子として木頭柚子しぼりを評価してくれたこと
は、本当にうれしいことです。これは、木頭地域の自然と、柚
子を育てる生産者、そしてそれをびん詰めする工場スタッフな
ど、この商品にかかわるすべての人が世界一として評価された
ということだと思っています。
 畑を歩きながら実りはじめた緑色の柚子に、よくがんばった
ね、今年も元気に育ってね、と語りかけると、なにか柚子も応
えてくれているように感じます。量は少ないけど、今年の柚子
もきっとおいしいことでしょう。ご期待ください。