お役所の仕事って、何のため? 誰のため? その2 

                 ひの ゆうさく

 前回の通信での話しに、多くの方々から応援をいただきました。
ありがとうございました。お礼と同時に、実は前回の文章に誤りが
あったことが分かり、お詫びしなければいけません。農水省と書き
ましたが、部署名は独立行政法人農林水産消費安全センターだった
んですね。電話で「のうりんすいさんしょう・・・」と聞いて、農
水省の担当部署だと思ったのですが、天下った方が運営している外
郭団体だったというわけです。ただ、外郭団体とはいえ、農水省の
役を受けているだけに権限もあります。はむかうと農水省や厚生省
の圧力が怖いと、多くの流通関係者からアドバイスを受けました。
官僚が自らを管理するというアンフェアなシステムで、この国の正
義は捻じ曲げられています。
 さて、その話がどういう展開になったか、ご報告いたします。結
局、今回の件で、裏面の一括表示の「名称」をマーマレードに変更
し、表はそのままの「ゆずじゃむ」で行くことになりました。粘り
勝ったという感じですが、実際のところは「表面は公正取引委員会
の管轄で、問題が起こってもそちらの責任」という返事だったので
す。この一連の話は、制度疲労と組織疲労を起こした行政をそのま
ま物語っていると思いますが、そんな話がきっと、みなさんの周り
にも山のようにあるんでしょうね。
 しかし、中にはとても献身的に、時間を惜しんで働いている方だ
っているはずです。そういう方も同じ仲間として否定されることは
口惜しい限りだと思います。前号からの話は、決して行政や特殊法
人などで働いている方を否定するものではありません。ただ、決め
られたことを実直にこなすだけでは、間違ったことが起こるという
ことは、心にとどめていただきたいと思います。日本が戦争に駆り
立てられたのも、日本人の実直さがゆえ。それは公務員や会社員だ
けでなく、すべての人に言えることでしょう。
 相次ぐ食品偽装のニュース。実直な日本人のイメージは過去の遺
物かもしれませんが、犯罪に関わった労働者は、言われたことを実
直に行っていただけなのかもしれません。一方、コンクリートの耐
用年数を考えると、日本で作られたダムの寿命もそろそろです。順
に約3200のダムが寿命を迎え、その改装費は莫大です。実直に
計画を遂行し、実直に国のお金を使うことで、環境を破壊し、人々
の心も破壊していった罪は、決して軽くはありません。