管流し 50年ぶり
5月18日、木頭村の真ん中を流れる一級河川那賀川で、このほど50年ぶりに木材の流送(管流し)が行なわれました。流送というのは、戦後の木材需要全盛期、まだ国道が整備されていなかったころ、山で切り出した木を、川の流れを使って下流の町に流して運んだ時代の、まさにその運搬方法のことです。何千本もの木を流すために、流し専門の山師たちが、一本の乗り木を決めてそれに乗って一緒に流れながら木々の舵を取るわけです。岩などに引っかかった木を竹トビと呼ばれる道具一本で、しかも丸太の上に乗りながら、という離れ業、一体どうやって??と話には聞けども信じられない気持ちが実はあったりしたのですが、今回はそのまさかの流送の再現でした。河原に切り出された70本ほどの木を、50年前現役だった流しのベテランや、一本乗り保存会でその技を受け継いできた若手含めて10数人が、川に落として下流に流していきます。
足をつけると5分と持たないような冷たい川の水の中、仕事シたちは朝の8時から夕方4時頃まで、岩や浅瀬に引っかかった丸太をトビを持って引っ張ったり突いたりして流れに戻しながら、無事予定通りの5キロほど木を流して運びました。一様でない川の流れや地形を読んで流送することは、想像以上に鋭さと勘、人並みはずれた体力ととっさの判断力の要る仕事だということが、ただ河原で見学していただけでも伝わってきます。
50年ぶりにして復活した「管流し」、「もう、これが最後じゃろう」ということですが、この化石燃料を全く使わない運搬方法、なんとかその技術を遺して、今の石油に依存した暮らしを見直すためにも、昔話になってしまわないよう願っているのですが・・・。
今回運ばれた木は、きとうむらの杉箱や木工品作りに使われる予定です。