お役所の仕事って、何のため? 誰のため?  

                 ひの ゆうさく

 六ヶ所村の核燃料再処理工場が、地下断層の調査のため本格稼動
延期となりました。しかし、断層の危険性はずいぶん前から分かっ
ていたのに、建設を強行し既成事実を作ってからの調査だなんて、
何を考えているのでしょうか? 御用学者の安全宣言をお墨付きに
不安を抱える人々をあざむくためなのか。それとも、本気で危険性
を認識してくれたのか・・・。いずれにせよ、断層のあるなしにか
かわらず、不毛な原子力政策から撤退する勇気を、この社会に望ん
でいるし、私自身もやれることをやっていきたいと思っています。
 そんな折、農水省の女性職員の方から会社に連絡がありました。
きとうむらで作っている「柚子じゃむ」を、ジャムと名乗ってはい
けないという話でした。???。ではなんと言えば良いのかと問う
と、「マーマレード」とつけなくてはいけないと・・・。マーマレ
ードはご存知のように皮を刻んで砂糖やはちみつに漬け込んだもの
です。それに対しジャムとは果物を砂糖などで煮込んだものです。
と、思っていたのに、農水省のジャム類の規定には、かんきつ類の
皮が認識できるものについては、ジャムとつけてはならないのだそ
うです。認識? ちなみにきとうむらの「柚子じゃむ」は約1ミリ
程度の皮が残った状態で、そのツブツブ感が好評なのです。が、こ
の1ミリの皮の粒が認識できるから、これはジャムといってはいけ
ない! と。しかし、これをマーマレードと名つけると、一般消費
者が混乱することは言うまでもありません。だって、明らかに誰が
見ても、「柚子じゃむ」はジャムであって、マーマレードとはにて
も似つかないものです。私は「皮が認識できるもの」というのは非
常に曖昧で定量的ではないので、明確な大きさのガイドラインを提
示してくださいと申し出ましたが、「一応そういったご要望がある
ことは上部に伝えますが、早急に改善してください」と。
 ツブツブを無くせということなのか。名前を変えろということな
のか。それが世のため人のためになるのなら、私もスタッフもきっ
と喜んで対応するでしょう。しかし、今回の件って、逆に消費者に
混乱を与え、無駄な浪費を強要し、製造者の気持ちを踏みにじるこ
とでしかないのでは? 税金をもらって、社会のために貢献するこ
とが仕事だったはずなのに、いったい何のために、誰のために、そ
の権力を行使しようというのですか? まったく分かりません。