農薬漬け輸入食品の問題  

                      ひの ゆうさく

中国の農薬餃子で日本のマスコミが大騒ぎしていますが、この問題について触れな
いわけにはいかないなあ・・・と思いながら、原稿を書いています。輸入食品の安
全性の問題は、なにも昨日や今日起こったことではありません。マスコミの論調は、
ここにきて突然起こった問題のように取り上げ、中国だけを悪者にしていますが、
はっきり言って、真に悪いのは日本政府です。農業を犠牲にして、工業製品の輸出
にばかりに力をそそぎ、国民の命と引き換えに、危険な食品を輸入するこの風潮を
作ったのは、だれでもないこの国の政策なのです。そして、この国策が始まったの
は戦後まもなくで、現在まで日本には大量の危険な食品が輸入されています。中で
も、アメリカ産の農産物はたちが悪く、大豆、とうもろこし、フルーツなど、アメ
リカ国内では使用禁止の農薬を大量にふりかけ、『日本特選』として運び込まれて
います。
 以前、ポストハーベスト(収穫後の農薬散布)の問題について書いたことがあり
ますが、太平洋を1ヶ月以上かけてアメリカからタンカーで運び込まれる農産物は、
虫に食われないよう、カビが生えないよう、腐らないようにするために大量の農薬
をかけます。これをポストハーベストと呼ぶのですが、これらの農産物で作られた
加工品や、飼料として育った家畜、牛乳、卵などには、農薬が濃縮する性質があり、
それを食べて育った子供や孫に影響が現れるのは当然のことです。小児ガンの増加、
白血病の増加、アトピー・アレルギーなど原因不明の病気の増加も、農薬や添加
物のせいだと唱える研究者が多数います。にもかかわらず日本の厚生労働省は、加
工用大豆や飼料用穀物において、農薬の量的規制がありません。つまり、毒漬けに
なっていても知らん顔なのです。
 さて、今回の農薬餃子の事件は分かりやすく、原因がだれの目にも明らかですが、
それに比べポストハーベストは知らず知らずに毒をもられているようなもので、不
気味でなりません。今回の事件後、いち早くアメリカ政府は中国の食品の安全性を
表明したと新聞で読みましたが、それもそうでしょう。自分たちのやっていること
を考えると、中国を危険と言ってはまずいからです。そんな現実に目を向けること
なく、単に「中国食品は怖い」とマスコミに踊らされている消費者は、その無知さ
こそが実は怖いのだと、気付いてほしいです。