偽装大国?日本  

                      ひの ゆうさく

 食品の偽装問題や、行財政の借金の偽装も含め、恒例の年末の一文字が「偽」に
なるなど、日本中が偽装に揺れました。しかし、よくよく考えて見ると、国家の中
枢を担う政治こそが、偽装ではないかと思えてなりません。あたかも郵政民営化の
ための国民投票だと言わんばかりに国民を納得させ、先の衆議院選挙で3分の2の
議席を有した政府与党。実質的には郵政問題以外の、国防、財政などにおいて、国
民の3分の2が賛成したわけではないのに、数の論理で国会を押し切るその手法も、
偽装と呼べるのではないでしょうか。
 また、偽装は政治だけではありません。中小企業への貸し渋りを行う反面、高金
利の消費者金融をバックアップする銀行。融資が受けられなければ仕方なく、経営
者や消費者は高い金利の消費者金融に駆け込み、銀行の収益が増加するというこの
手法も、偽装と言って良いのではないでしょうか。
 環境問題においてもそうです。日本中、いや世界中、石油産業はもとより武器産
業に至るまで、エコロジーを提唱しない企業はもはやありません。しかし、それな
らとっくに環境問題など解決するはずです。でも実態は、収益の中からほんのわず
かな費用を環境活動に拠出するだけだったり、机上の計算式でCO2が削減されるか
のように表現したりしているだけで、宣伝文句ほどに環境は良くなっていません。
これも間違いなく偽装でしょう。
 そして、再び食の偽装問題です。マスコミをにぎわせたいくつかの事件は、いか
にも分かりやすい偽装でした。しかし、大量生産・大量消費の食品ビジネスにおい
て、表に出ない偽装は山のように存在します。例えば化学調味料は、うまみの偽装
のために科学的に合成された偽装成分です。また化学色素や合成香料は、天然の食
品と間違えるほどの偽装素材です。1年以上醗酵熟成させて作る伝統的手法の醤油
に対して1〜2週間でできてしまう即醸醤油も、食文化から見ると偽装醤油です。
その他、数えたらきりがないほど、日本中に偽装的食品があふれています。では、
なぜそれが偽装にならないかというと、お役所の基準に準じて表示をしているとか
許可されているからというだけです。でも、それって、お役人の天下り先確保の
ために、企業の偽装行為を見逃す抜け道作りでは? いやはや、そんなお役所自体
も、偽装なのではないでしょうか。