柚子はどこへ行く?  

                      ひの ゆうさく

 木頭地域の柚子収穫も終わり、なんとか1年間の柚子の原料が確保できたと、

ほっとしています。ここ3年前から異常気象のせいか、柚子の収穫量が減少気味で、

あわせて昨今の柚子ブームで、柚子の値段が年々上がる一方です。大手食品メーカー

や飲料メーカーが、柚子を確保するために、ブローカーまがいの業者を使って、現金

で買いあさっているためか、4年前からすると価格が2倍になっているのが実情です。

 大手メーカーの柚子製品の多くは、酸味料や香料を使っているため、柚子自体の使

用料がさほど多くありません。それこそ、柚子ドリンクという名前でも、実際には柚

子果汁が1%未満の商品も少なくなく、原料価格が倍になろうが、たいした問題では

ありません。しかし、きとうむらの商品は、ゆずみつでも約10%、柚子醤油は35%、

柚子しぼりにいたっては100%と、原料の使用料が多いため、柚子の価格が上がれば

それだけ製品価格に影響してきます。

 とはいえ、製品の価格を上げつづけるということは、お客様に迷惑がかかるため、柚子

の値上がり分をカバーするよう、いかに棄てるところ無く、柚子を商品化できるかが課題

となっています。果汁だけではなく、柚子の皮を使った製品を作るのもそのためですが、

すべての皮をこれまで使い切れていませんでした。そこで、今年よりしぼり終えた柚子を

100%活用できるよう、さまざまな新製品の開発に着手しました。来年から、それらの

新商品が登場すると思いますが、どうぞご期待ください。

 さて、きとうむらが生産者から柚子を購入することは、他の地域の業者が柚子を購入す

る以上に、木頭地域の経済活性化につながっているということも、皆さんに理解していた

だきたい点です。それは、柚子を単に売買するという経済の流れだけでなく、その柚子を

加工することにかかる雇用や諸経費による経済効果、そして柚子製品を販売することで産

まれる経済効果、さらには木頭柚子のブランドイメージを高めることによる経済効果など

です。つまり、生産者の柚子は、きとうむらで加工製品になることで、3倍4倍の価値を

もち、地域の経済に貢献するということなのです。これこそが、木頭地域にあって、地域

のために存在する企業としての意味があるのだと、私たちは自負しています。