スリランカの3輪タクシー
                   中川公輝

***木頭出身の中川さんは、お連れ合いの朋子さんと一緒に海外で活躍されています。今回、何年かぶりに木頭に帰ってこられた際に、赴任されていたスリランカのお話を伺いました。***

 スマトラ沖地震津波被災直後のスリランカに国際協力機構のボランティア調整員として赴任(2005年1月6日)してから、約2年と4ヶ月あまりを首都コロンボ市で過ごし、先月の8月6日に木頭に帰ってきました。久しぶりの木頭に帰ってみて感じたことは、やはり空気と水が相変わらずきれいだということです。少々、川の砂利が多くなり流れの景色が変わってしまったこと、家から見える近くの山の杉が背高くなり、緑とその影が濃くなって景色がさらに暗く見えるようになったことは少々残念な変化ですが。せっかくスリランカに2年と4ヶ月も住まわしてもらったので、このスリランカで生活してきた中で気付いた事を書いてみたいと思います。

 スリランカには、日本では見られない小さな3輪のタクシーがたくさん走っています。この3輪タクシーは100〜300Rs(Rs1=約¥1)支払えばコロンボ市内ならば、ほとんど文句なくどこでへも走ってくれます。
 3輪タクシーはほとんどが2ストロークエンジンがほとんどです。なのでビービーとうるさい排気音に煙とオイルの焼けたにおいの排気ガスを出しながら、そこらじゅうを縦横無尽に走り回っています。エンジンスタートは運転席の左脇にある普通乗用車のサイドブレーキレバーのようなスターターレバーを手で勢いよく引き上げてエンジンを始動する手動式です。

 驚いたのは、彼らが信号待ちでよくアイドリングストップをしていることです。スリランカでは青になる直前に青信号の予告として黄色が点灯する信号が付いています。このせいか手動レバーでエンジンスタートしなくてはならない、めんどくさい3輪タクシーでさえ信号待ちアイドリングストップをよくやっているのです。つまり、青になるタイミングが事前にわかるために青の前の黄色信号になった時点で、エンジンスタートレバーを左手で力いっぱい引いてエンジン始動して、青での発進に備えられるのです。もちろん黄色信号でなくても日本のどこかで設置されている数字のカウントダウン表示でも同じことですが。このような青信号予告の黄色点灯信号はイタリアなどのヨーロッパでも普及しているようです。

 しかしこれはすごいと思いました。おそらく日本でアイドリングストップなどと言う言葉が出てくるずっと前からこれをやっていたようです。もちろん、彼らは高い燃料代を少しでも節約しようとやっているのだとは思いますが。日本でもこのような信号表示もしくは、カウントダウン表示やエンジン始動表示のようなものをできるだけ全ての信号につけるべきかも知れません。そうすれば、信号待ちでアイドリングストップしても誰もがあせることなく青信号に備えてエンジンを落ち着いて再スタートできるので、アイドリングストップする車が増え、燃料が節約され、二酸化炭素が減り、その他大気汚染物質も減り、環境改善が期待できるのではないでしょうか。夏にアイドリングストップするとエアコンが切れて暑くてたまりませんが、できるだけアイドリングストップしてみたいものですね。そして地球上のどこの町に行っても、木頭のような澄んだ空気が吸えるようになるといいですね。

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