太布のカジ蒸し

かつては全国各地にあったと言われる楮(こうぞ)の皮で糸を作り織りあげる古代布・太布(たふ)は、いまでは日本で唯一、木頭にだけその製造技術が伝承されています。

太布は木の繊維だけに硬いのですが丈夫で長持ち、使いこむほどに肌に馴染んでくるという素朴な織物。

木頭の70歳代以上の方は、水車で精米・精麦するためにこの太布で作られた袋に穀物を入れて運んだ子どもの頃の記憶があるそうです。穀物のヌカの成分がしみ込んでより強くしなやかになったという太布の袋は、今でも各家に残されているところも多く、長年使い込まれた風合いが美しく、また今でも十分使えるほどの丈夫さです。

一年に一度、一番寒い季節に行なわれる楮を蒸して皮を剥ぐ作業「カジ蒸し」が、1月12日に行なわれます。

木頭の風物詩のひとつである「カジ蒸し」は、今でも昔同様大きな甑(こしき)をかぶせて薪を焚いて蒸し上げ、皮を手で剥ぎ灰汁で炊いたあと、槌(つち)で叩いたり、籾殻をまぶして足で踏み込んだりしてなるべく繊維を柔らかくし、より白くなるように一晩川に浸けて晒します。

翌日川から引き上げて2晩ほど地面に広げてしっかり凍結させて、さらに白く柔らかい繊維にしてから干して保存します。

太布織のすべての工程のなかで肝心要のカジ蒸し。
糸作りの始めの第一歩です。

太布織FBページ

きとうむら店舗にも太布製品を置いています。

カジ蒸し
カジ蒸し

灰汁で炊く
剥いだ皮を灰汁で炊く

川に晒す
一晩川に晒す

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